
きっかけはお客様の声
弊社は60年以上にわたって印刷物の打抜き事業を営んできた会社です。 打抜き加工は印刷の後加工であるので、印刷会社から仕事を請けることが多いのですが、 そのなかで毎年夏から秋にかけては多くのカレンダーの加工案件があります。 あるとき、カレンダーの案件の中で、卓上カレンダー且つ環境に配慮したものを提案できないかという依頼がありました。

プラスチックリングへの着目
環境に配慮ということで、まず思いついたことが「脱プラスチック」です。 海洋へのマイクロプラスチック流出など、環境問題が生じていることは知っていました。 プラスチックからバイオプラスチックや紙に置き換えていくという国の方針もあり、 プラ→紙への置き換えが一番効果的だと考えました。 そこで、その観点で卓上カレンダーを見直すと、プラスチックリングがクローズアップされてきたのです。

プラスチックリングの
問題点と発想の転換
弊社の協力工場でカレンダーの内職を数多くやっている企業があったので、詳しく話を聞いてみると、 プラスチックリングは安価である一方、環境負荷の他にもいくつか問題があることがわかりました。
- 捨てる際に分別しないといけない
- リングであるがゆえにかさばる
- かしめるのは手作業が多く手間がかかる
- プラスチックリングの納期の問題
こういった問題は以前から把握されていたようで、世の中にはペーパーリングなど、 紙製のリングを使った製品もでてきています。しかしそれではすべての問題を解決できません。
そこでいっそのこと、リングを無くしてしまえばいいのでは、という発想に至りました。

リングレスカレンダーの誕生
最初付箋製作技術の応用で、付箋糊で作成することを考えました。 しかしテストをしてみると、めくって次月を見たいときに少し不便で、一度剥がれてしまうと再度貼り付け直すのは困難であえなくボツに。 次に天糊技術を応用してみることを思いつき、試作してみると強度も思いの外しっかりしていて、付箋よりもむしろはがれにくいことがわかりました。
お客様に提案したところ、強度はいいが、剥がしてしまうとその月の玉を捨てざるをえず、 前月の予定を振り返りたいときなどに困ってしまうという指摘を受けました。 その解決策として、台紙部分に打抜き加工をして、挿し込める穴を作ることとなり、 現在のリングレスカレンダーの形が出来上がっていきました。

プラスチックフリーにこだわる
本体は出来上がったのですが、これをOPPに入れてしまうと結局プラスチックを使うことになってしまうため、 リングレスカレンダーではプラスチックフリーに拘り、OPP袋ではなく紙封筒を用いることにしました。 現在は、さらにこれを進化させるべく、製袋メーカーと協力して開発した専用のセロファン封筒を使用することもできるようになっています。

リングレスカレンダーによる
効果
卓上カレンダーに用いられるプラスチックリングの重量は部当たりで約4gと言われています。 リングレスの場合ペーパーリングとも異なり、本文用紙の他には糊しか用いませんので、純粋にその分のプラスチックを削減することができます。 また、OPPの使用量もゼロですので、セロファン封筒を使えば、カーボンニュートラルにも貢献することが可能です。
こうして誕生したリングレスカレンダーはSDGs時代に適合した全く新しい卓上カレンダーと言えるでしょう。